「広告音楽の使用」に関する確認書(モデル案)

甲:広告会社またはCM制作会社
乙:広告音楽制作会社

前文

甲乙は、広告主(会社名)(以下、「広告主」という)が広告等マーケティング活動のために使用する目的で甲に制作を依頼し、これに基づき甲が乙と別途交わす広告音楽制作契約において完成される広告音楽の楽曲および音源(以下、「本作品」という)の使用条件について、以下の通り書面をもって確認する。
1.「広告音楽」の定義
この確認書でいう「広告音楽」とは、使用者である「広告主」がマーケテイング活動として広告宣伝に使用するために、広告会社あるいはCM制作会社に依頼し制作したオリジナル音楽著作物である「楽曲」(詞・曲、併せて「楽曲」という。既成の著作物は除く)およびこれらの楽曲を録音物に固定したもの「音源」をいう。
2.著作権尊重と広告目的の実現
音楽の著作権は著作権法で明確に定められており、「広告音楽」においても音楽の著作権及び著作隣接権を尊重し、遵守することが大前提である。と、同時に、広告音楽としてのマーケティング上の重要な役割について共通の認識を持つことが欠かせない。

広告音楽の制作、使用の目的は、広告主がマーケティング活動のさまざまな場面で消費者に企業、商品の情報を“音楽”を通して印象的、個性的イメージをもって伝えることにある。したがって、企業、商品のコミュニケーション目的、イメージ戦略にふさわしいものとして創られ、そのイメージが損われない配慮をもって管理され、使用されることが必要となる。

 この前提のもとに制作が委嘱され、一度創られた音楽イメージは、企業、商品と結びつき、共生する関係が生まれる。こうした認識のもとに、広告音楽の使用条件を定めていくことが、この確認書を定める上で重要である。
 広告主、甲乙が互いに意思を確認し、協議し、合意に達することによって、広告音楽の制作、使用の目的が明確になり、より品質、品位の高い広告音楽の実現がはかれることとなる。
3.広告音楽使用条件の明文化による紛争の防止
広告音楽は、広告主より広告会社あるいはCM制作会社(以下、「広告会社等」という)へ、広告会社等から音楽制作会社へ、という順で制作委嘱がなされるところ、その使用条件については、各々の契約当事者間の口頭での約束がなされるに留まっているのが実情である。
 そのため、実際の使用に入ると広告主と音楽制作会社との間に使用条件についての認識の相違が生じやすく、これが紛争の原因となることがあった。そこで、この確認書(案)は、予め使用条件を明文化することによって、後日の紛争を防止しようとするものである。よって、本確認書は広告音楽の制作開始にあたって協議、締結されることを原則とする。
4.本確認書における広告主・甲(広告会社等)・乙(音楽制作会社)の位置づけ
 ところで、広告音楽の使用条件を協議・決定すべき本来の契約当事者は、主として、広告音楽の使用者である広告主と、広告音楽制作会社や作曲者等の著作権、著作隣接権を有する各種権利者らである。
 しかし、実際の広告音楽の制作委嘱は、広告会社等から広告音楽制作会社になされ、本来の上記当事者が直接相対することがないという現状の取引形態から、実務上、この二者が本来の上記当事者に代わって広告音楽の使用条件について明文化を図らねばならない。これが本確認書の契約者を甲と乙に据えるに至った事情である。

 もとより、甲(広告会社等)が広告主に代わって本確認書の契約者となるについては、単に上記の事情だけでは充分でなく、その権限を有していなければならない。この点については、広告会社は広告主よりCMの制作依頼を受けて、その構成要素の一つとして、広告音楽の制作を広告音楽制作会社へ委嘱するものであるから、その使用条件についても、これを定めるに必要な権限を広告主より授与されているとする解釈に立つ。

 また、乙(広告音楽制作会社)については、自らが広告音楽における著作隣接権者となる場合もあるが、他の著作権者や著作隣接権者等に代わって本確認書の契約者となるためには、やはりこれらの権利者から当該権限が授与されていることが必要である。
 よって、この権限については、本確認書では第2条において甲乙共に当該権限のあることを相互に保証する形式を採っているが、この点に関する両者各々の側の関係者間における意思の一致が不可欠であることは言うまでもなく、広告会社等と広告音楽制作会社には、これら関係者の意思の疎通、調整を図るべき重要な役割が存する。
5.広告主による確認署名押印について
本確認書は、甲(広告会社等)と乙(広告音楽制作会社)との二者が契約したものを広告主が事後的に確認し同意する形式を採っている。これにより実質的には、広告主と広告会社等と音楽制作会社の「三者契約」に相当する。前記C記載の通り、甲は広告主より本確認書を締結するに必要な権限を授与されているが、改めて広告主の確認・同意を得ておくことで更なる安全を図る趣旨である。
 この形式は、広告主が広告音楽制作会社と直接の契約関係にないという現状における取引形態のなかで、関係者の意思確認を法的に矛盾を生じさせることなく、かつ円滑に実施できる方法として採用した。部長ないしそれに準じる制作責任者であることが望ましい。
 こうした背景からみて、本確認書における確認者は、広告主の意思決定者としての宣伝部長、制作部長ないしそれに準じる制作責任者であることが望ましい。

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