広告音楽の使用について
日本広告音楽制作者連盟
(社)全日本シーエム放送連盟



このたび(社)全日本シーエム放送連盟(略称ACC)と日本広告音楽制作者連盟(略称JAM)との協同研究によって『広告音楽の使用に関する確認書(モデル案)』がまとまり、発表するはこびになりました。
これは、従来、文書による契約のないまま行われていた広告音楽の使用条件等について契約によって明文化し、一つの新たな取引慣行を確立しようとする試みです。しかも、これが一つの団体による成文化ではなく、両団体の3年半にわたる、根気よい協同研究の成果であることを、まずご理解いただきたいと思います。
 契約は本来、個別な約束であり、1パターンで決められるものではありません。また、このモデル案は、何らの拘束力を持つものでもありません。したがって、個別の合意が優先する原則は変わりません。しかし、さまざまなケースを双方の立場で研究し、討議し、まとめあげた一つの成果です。
 これを一つの目安にして、個々のケースのなかで、広告主の確認同意を得るかたちで関係者が合意し協調(ハーモナイズ)できるよい契約ができることを願って、このモデル案をACCとJAMが協同して提唱し、発表します。
 発表にあたり、ここに至るまでの経緯と基本の考え方を明らかにします。

CMにおける音楽の役割は、改めて言うまでもなく極めて大きなものがあります。CMも映画と同じように、映像と音楽との密接な関わり、その総合した力が、映像作品としての価値を高めていることは疑う余地がありません。したがって、映像制作者と音楽制作者は、互いによき理解者となり、その協力関係を通して初めて優れた広告作品を創ることが可能となることを、まず銘記すべきでありましょう。
CM映像の制作においては、広告主、広告会社、CM制作会社三者の間に当事者同士としての意識と緊密な関係が培われており、制作現場でもこの三者が深くかかわり合って仕事が進められています。広告音楽の制作においても相互協力という原則に変わりはありません。ただ、音楽という独立した専門分野の仕事のため、広告主、広告会社(あるいはCM制作会社)と広告音楽制作会社との仕事に関わる接点が限られていることもあって、必ずしもコミュニケーションが十分にとれていたとは言いがたい面があります。とくに、広告音楽の委嘱・受注に際し、使用範囲・条件について互いの意思を確認し合う大切なコミュニケ−ションが不足していたようです。
今日、CMに対する社会認識はますます高まり、CMの役割も増大しています。映像制作における場合と同様に、音楽の制作においても当事者間に共通の認識と協調の関係を育てることが重要です。これを機に、相互の理解を深め、円滑な取引を導く運用方法の確立を図りたいと考えます。

 ご承知のように、広告は、消費者が商品を購入したり、サービスを受ける場合に、選択の手掛かりとなる情報を提供するものとして日常生活に重要な役割を担っています。
 この目的を果たすため、広告主は、絶えず変化する市場や消費者動向に合わせてCMをいつでも必要なときに任意に使える状況にしておかなければならないと考えます。 
 広告主は、CMの制作を広告会社に発注する場合、広告音楽も当然その一部に含まれるものと考えます。したがって、完成されたCMは広告主が自由に使えるものであり、音楽もその一部であって、CM制作費のなかにはその費用も含まれていると考えます。
 一方、受託側の音楽制作者は、広告主による任意・自由な使用は実質的な買取りに相当すると考えます。そのため、両者の受け止め方が食い違い、しばしばトラブルのもとになっていました。
 その大きな原因は、広告音楽を委嘱する際、委嘱者と受託者の間に明確な意思確認がなされていなかったことです。
 映像の場合、広告主、広告会社、CM制作会社の間に「CMの使用について」の基本的な考え方が確立しています。しかし、広告音楽に関しては、双方の意思確認がハッキリした形でなされない状態が続いてきました。
 本来、仕事は双方の意思確認と同意のもとに行われるべきものです。互いに立場を理解し、率直な協議を通して合意できる解決策を見出していかなければなりません。

広告音楽には独自の権利として「音楽の著作権」があり、著作権者並びに著作隣接権者の権利が確立しています。
 しかし、既存の楽曲と違い、広告という特定の目的で委嘱され、広告活動という特定の目的のために使用されることから、通常、広告音楽は一般楽曲とは異なる扱いがとられています。(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)においても信託契約を結ぶ作詞・作曲家等の委託者があらかじめJASRACの承諾を得ることによって、「依頼により広告目的のために著作する著作物について、依頼者である広告主に対し、その依頼目的として掲げられた一定の範囲の使用を認めることができる」としています。こうした背景から、JAM加盟の制作会社が創る広告音楽に関しては、当該加盟各社がそれぞれの権利者から権限を得て調整・管理にあたっています。

情報のデジタル化・ネットワーク化が急速に進むなか、CMの使用についてもいっそう多様化が予想されます。広告音楽の使用について見解の一致が急がれます。
 広告音楽の使用条件についてルールの確立を求めるJAMと、CM界で円滑なCM活用の促進をはかってきたACCとは、まず広告音楽の委嘱者、受託者の当事者間で合意できる健全な取引関係を築くことが不可欠と考え、互いの立場の理解と協調を通して話し合いを続けてきました。
 ACCは、構成する広告主、広告会社、CM制作会社、放送会社の見解、要望を基に、モデル案の作成に取り組みました。JAMもまた、著作者、著作権者、著作隣接権者などの要望をまとめました。JAM−ACC間で3年半にわたる協議がくり返され、こうした作業と努力の結果、このほどようやくルール化の案がまとまったのです。
 信頼しあえる関係を築くには、どのような約束が必要か、どのような条件、どのような対価がふさわしいか、決して優越的地位の濫用に該当するような行為を行わず、公平平等に、よく協議して決める必要があります。関係者がどのような責任と義務を分かち合うべきなのかを明確にするために「確認書(モデル案)」を作成したのです。
 解釈がバラバラにならないように、条文の趣旨、背景についての「解説」も加えました。

 この「モデル案」は、始めに述べたように一つの目安であり、強制力を持つものではありません。しかし、関係する各団体の協議検討を通し、双互の交流の中から生まれたものです。この「モデル案」が一つの事例となって広く理解され、JAM 、ACCの会員外にも通じるものになることを期待しています。これを基にして、委嘱者、受託者双方にとって、広告音楽の価値を高め、使用を円滑にするとともに、制作意欲の高まる環境を育て、CMの質の向上を導くことができることを切に希望するものです。


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